蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



木葉は下に降り、浴室へと向かった。

シャワーを浴びて新しい部屋着に着替える。


と、そのとき。

玄関の方からピンポーンと音がした。


「誰だろう?」


こんな時間に来客とは珍しい。

玄関の扉を開けた木葉は、意外な人物の姿に目を丸くした。


「圭ちゃん……」


ワイシャツにネクタイ姿の圭斗が玄関の前に立っていた。

恐らく仕事の後、そのまま来たのだろう。

急いで来たらしく、肩を上下させている。


圭斗は木葉の姿を見、少し笑った。

しかし木葉の半乾きの髪を見た瞬間、その笑顔はすっと消えた。

いつも穏やかな笑みを湛えている瞳が一気に険しくなる。

木葉はその表情に首を傾げた。


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