お前が好きなのは俺だろ?
「一ノ……」
「どうして弘也と一緒に居たの?」
……え?
とても落ち着いた声。
でも、暗すぎて一ノ宮君の表情は分からない……
「あ、どうしたの?一ノ宮君……?」
やんわりと声をかけて、起き上がろうとした。
なのに、その腕はベットに押し付けられるように身動きが取れなくなった。
その行動がいつもの一ノ宮君らしくなくて、不思議なほどに胸がざわつく。
「あ、あの、連絡しなくてごめん」
「どうしてシャンプーの香りがするの?」
――ドキッ
「ねぇ、今まで何をしてたの?」
低く、でもどこか艶美なその声は、あたしの体を震わせた。
一ノ宮君のことが、初めて怖いと思った―……