お前が好きなのは俺だろ?
「で、デート?」
音の正体は、今まで父さんが読んでいた新聞。
「未来ちゃんっ!!デートと言うのは本当か!?」
「えっ!?」
今までソファーに座っていた父さんが立ち上がる。
「デートなんてまだ早……」
「勇吾さん。高校生なんだからデートくらい普通よ」
「でもそんなデートなんて……」
「もぉ~!娘が心配だからってそんなこと言ってたら娘に嫌われるわよ?」
「っ……そ、それは……」
父さんは本当に未来を娘のように思っている。
だからこそデートというのは許せないんだろ。
でも、俺の許せない気持ちとは違う。
明らかに……何かが違うだ……
それから祥子さんが父さんを何とかなだめて、未来は家を出て行った。
ずっとリビングに居た俺を、一度も見ることもなく―……