お前が好きなのは俺だろ?
「入っていいよ」
そう言うと、そっとドアが開き、遠慮気味に未来が顔を覗かす。
「どうした?入れば」
「あっ、うん」
お風呂上りなのか、頬はほんのり赤く、髪が少し湿っている。
ちゃんと乾かせよな……
未来はベットの淵に座っている俺に、警戒心もなく近づいてくる。
この無邪気なところが、とても危ないことだと思う。
まぁ、相手が俺だからどうってことでもないけど。
でも俺意外の他の男だったらこんな警戒心のない女が、湯上りで近づいてきたら……きっと……
「あの……一ノ宮君にお願いがあるの」
お願い……?
「……なに」
「あたしとデートしてほしいの」
「……は?」
自分でも間抜けな声が出たと思った。