お前が好きなのは俺だろ?
――ガラッ
「ほら~、全員座れ~」
教室のドアが勢いよく開いて、担任が入ってきた。
担任が教卓を軽く叩き、それに反応してそそくさと生徒たちが席に座る。
「今日は先週から休みに入った田中先生の代わりに、このクラスの副担を受け持ってくださる先生を紹介する」
あぁ―……、そう言えば田中先生、産休に入ったのか。
幸せそうに、その報告をした田中先生の姿を思い出す。
「飯田先生、どうぞ」
カツカツと小さくヒールの音が響く中、教室に入ってきた人に、全員の視線が集まる。
そして、一瞬にして騒がしかったクラスがシーンと静まった。
理由なんて聞かなくてもわかる。
だって……
「初めまして。飯田加奈子[いいだかなこ]と言います」
絶世の美女がそこに立っていたんだから……