お前が好きなのは俺だろ?


「別にいいでしょ。お風呂に入る前に片付け終わらせていたいの」



お風呂入ってからはゆっくり過ごしたいし……



「ふぅーん、そう」



「そう」



お風呂上りの髪をガシガシとタオルで拭き、いつもと同じように興味の無いように答える一ノ宮君。



だからあたしも冷たく返して、スポンジを水に濡らした。



「ほら」



「え?」



差し出してきた一ノ宮君の手を、ただ見つめる。



「皿、俺が洗っておくから、風呂に入ってこいよ」



「え、でも……」



「いいから。入ってこい」



「あ……ありがと……」



「別に……」



そっけなくそう返し、皿を洗い出す一ノ宮君。



たまに見せる一ノ宮君の優しさ。



そんな姿を見るたびに、胸がギューッとなる。



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