お前が好きなのは俺だろ?


「飯島先生……」



「だから玲……」


ゆっくりと近づいてくるピンクの唇。



「悪いけど……」



その唇を掴まれてない方の手で押さえた。



「俺さ、今大事な人がいるんだよね」



「……え」



「だからそいつ意外とはこういうこと出来ないし……したくない」



「そ、そんなっ……」



一気に潤んでくる瞳。



この瞳に何度も誘われてたっけ……


なんて思いながら、それでも心は驚くほどに冷めている。



「それにさ、先生。そろそろ猫かぶるのやめたら?」



「……」



「家庭教師してた時から、得意だったもんな。そうやって猫かぶって、男を騙すの」



「……ふっ、大人になったね―。玲」



さっきまでの儚い姿なんて微塵も感じれない、艶美なその笑み。



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