お前が好きなのは俺だろ?


一ノ宮君の手があたしの手を握り、そっとそのまま上半身裸の胸に持っていかれた。



「あ……の……」



なに……?



「言っとくけど、緊張してるのは未来だけじゃねぇから」



「えっ……」



「分かるだろ。俺だって、未来と同じくらいドキドキしてんだよ」



そう言われてやっと、一ノ宮君を見ることが出来た。




そして、一ノ宮君の鼓動を感じることが出来た……



トクントクンと脈だつ胸が、あたしと同じで、心がホッとする。



「えっ……でも、一ノ宮君……慣れてるんじゃ……」



キスの仕草だって、服の脱がし方だって、何も知らないあたしでも慣れていることが分かる。




「確かに経験ないって言ったら嘘になるけど」



――ズキッ



分かってたけど、心が痛む。




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