お前が好きなのは俺だろ?


―――――――――……


「ごめんなさいね。いつもいつも手伝ってもらっちゃって」



「い、いえ……」



教室を出ると同時に飯田先生に引き止められた。



「どうしても明日の授業までに、このプリントを綴じておかないといけなくて……」



そう言ってもう一度謝る先生は、やっぱり綺麗で優しい先生にしか見えない……



智香は、どこが気に入らないんだろう。




「それにしても資料室は嫌ね―。湿気で髪がパサパサになっちゃう」



「そうですね。特に今日は天気も悪いですしね……」



確か朝の天気予報で、夕方から雨だって……



「もう、本当に嫌よね―。でも未来ちゃんは髪が綺麗だからうらやましいわ」



「そ、そんな!」



「あたしも彼が……あっ、元彼なんだけどね、髪にキスをするのが癖でね。それで髪には気を使う癖ができちゃって」



髪にキス……か。



――『未来……』



っ///



つい玲があたしの髪にキスをする仕草を思い出した。




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