お前が好きなのは俺だろ?
あたしたちが帰ってきたことは気付いているはず。
なのに、振り向かないってことは、やっぱり……
「未来……」
「ん……」
深く息を吐いて、そっとソファーの前に足を進めた。
「父さん」
「……」
新聞を広げたまま、そこから視線を外さない勇吾さん。
「俺たち、本気だから」
「……」
玲が繋いでいる手を、ギュッと強めた。
あたしが不安だからって握ってくれている手。
でも、本当は玲も不安なんだと思う。
1人であたしとのことを両親に話して、反対されて……
それで不安にならないわけがない。