お前が好きなのは俺だろ?
「優しかった……」
「……あのさ、どこで俺と話したか知らないけど俺が優しいのは当たり前。だって表の俺だし」
あたしを見下ろしたまま、一ノ宮君の冷たい声が耳に届いた。
「やっぱり覚えてないんだ……」
「だから……」
一ノ宮君が話す前に立ち上がり、クローゼットからあるものを取り出した。
「それ……」
っ!!
目の前にあるモノえお見たとたんに、一ノ宮君の瞳が少し大きく開いた。
もしかして思い出してくれた!?
あたしが取り出したのは、あの日―……
あたしが一ノ宮君に恋に落ちた時にくれた、青いハンカチ。
あれから返せなくて、洗濯してずっとしまっていた。
「あぁ~そういうこと。それで俺のことを好きになったってことね」
「っ///」
直球なその言葉に、頬が熱くなった。