お前が好きなのは俺だろ?
いつも俺の本性を出すのは弘也の前でだけ。
だから、この会話だって大きな声ではしていない。
それなのに、弘也の声にみんなからの視線が集まる。
「もしかして!好きな人が出来たとか!?」
――ガタガタッ
弘也の言葉に、教室がざわざわと騒ぎ出す。
中には驚きからか、椅子から立ち上がる女子も。
「ち、違うよ。弘也」
こいつ―……
心の中では悪態をつきながら、精一杯の笑顔で返す俺。
みんなが見てなかったら、ここで一発弘也を殴っときたいところだ……
「ほら、そろそろ授業も始まるよ」
「ちぇっ!」
あからさまに俺に舌打ちをして、席に座った弘也。