お前が好きなのは俺だろ?
「あ、あのさ……玲……。実は俺……」
――トントン
「旦那様がお呼びですよ」
ノックの後に、ドアの向こうでさん家政婦さんの声が聞こえる。
父さんが俺に用事……?
一体なんだ……?
「あぁ、はい。あっ、それで弘也さっきの話って……」
「い、いや!また今度でいいや!!」
手を横に振って、早口にそう言った。
「そうか?じゃあ、ゆっくりしてて。親父のところ行ってくるからさ」
「あ、あぁ―……」
少し様子のおかしい弘也を気にしつつも、父さんの書斎に向かった。
――トントン
「おっ、玲か?入りなさい」
俺が名のる前に、そう返事をした父さん。