あの夏の恋
愛ちゃんと、祖母を重ねてしまった。
どちらも、僕の大好きな笑顔だ。
心が軽くなる。
でも、愛ちゃんの笑顔と、祖母の笑顔は何か違った。
「夏、あんたいい顔になったねぇ。なんか良いことでもあったか?」
祖母はご飯をゆっくり食べながら、そう言う。
「うん、やっぱりあの山に行って良かったと思ったよ」
「そうかいそうかい。嬉しいねぇ。田舎もいいものだろう?自然が豊かで」
味のしみこんだ肉じゃがを頬張りながら、頷いた。
外で泣いているコオロギの声を聞きながら、夜は過ぎていく。