あの夏の恋
「夏くん」
「なに?」
愛ちゃんがにっこり笑いながら、僕を見る。
どきりとした。
「夏くん、って名前、いいよね」
夏。
僕は、“夏”が大嫌いだ。
暑いし、虫は大量にいるし、汗はかくし、体が弱るし。
だから、勿論自分の名前も嫌いだった。
活気が良い“夏”とは正反対の性格をしてると思うし、多分、僕こそ“夏”が似合わない人は居ないだろう。
「・・・・・・・僕は、“夏”が好きになれないなぁ」
本心を溢してみる。
愛ちゃんは、驚いたように大きい目を見開いていた。