あの夏の恋
「夏、嫌いなの?」
「うん。冬か夏か、って聞かれたら夏の方が嫌いだな。暑いし、家に出れないし」
「えぇ、そうなの?」
初めて愛ちゃんが怪訝そうな顔をした。
「私は夏、好きだよ。動物もたくさん土から出てくるし、寒くないし。四季の中で一番好きな季節は夏かなぁ。」
「僕は気候が丁度良い、春くらいかなぁ」
「あ、春も良いね。でも、何より夏って、元気です!!ってイメージ無い?」
愛ちゃんは満面の笑みでそう、僕に聞く。
「うん。まぁ、一番はしゃげるのって、夏のイメージがある。」
「でしょ?そう言う明るい所が、私は好きだなぁ」
言うと思った。
明るい愛ちゃんは、夏が似合う。
眩しい笑顔なんて、“夏”そのものだ。
僕と名前が反対だったらいいのに。
あ、でも“愛”って名前の男が居たらヘンかな。