あの夏の恋
「夏くん、夏くんはすっごい素敵な人だと思うよ」
心臓がうるさく鳴った。
愛ちゃんを不審な目で見てしまった。
「素直で、正直で、嘘がない。そう言うのって、すっごい素敵だと思う。
だから、自分のこと嫌いにならないで」
どきり、と核心を付かれた気がした。
愛ちゃんに、僕が僕の事を嫌いだ、と言うことは、もうとっくに見抜かれていたのかもしれない。
体が弱いから走れないし、すぐに病気はするし、人と対等に話せないし、臆病だし。
すっと自分には良いところが無い、そう思ってた。
愛ちゃんみたいな明るい人が、ずっと羨ましかった。