あの夏の恋



洗い物を流しながら、僕は今日の事を色々考えてみた。


よし、きっと。
きっと明日には告白してみせる。


愛ちゃんが言っていた、“正直な心”でぶつかってみる。

高校生にもなって、子供っぽいけど。



『八月十二日頃、発見された遺体は、河地 愛さんのものだと分かりました。』



どくん。

心臓が鉛のように固くなった気がした。


無機質なアナウンサーの声に、僕は勢いよく、点けっぱなしのテレビにかじりつく。


「おお夏、どうした?」
「しっ!!!」


テレビの音量を最大にして、そのニュースを聞く。



『遺体で発見された河地さんは、田舎に帰省していたそうで、同時刻に発生した交通事故で、谷へ転倒したものと思われます。』



テレビ画面一杯に、僕の知っている愛ちゃんの顔写真が写された。


高校の写真だろうか、あのセーラー服のままで写っている愛ちゃんは、正真正銘、僕が見ていた愛ちゃんの姿だった。





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