あの夏の恋
「うん、私、この場所が大好きなの。子供の頃に連れてきてもらって、忘れられない思い出の場所」
愛ちゃんは、悲しげに笑った。
「愛ちゃん、愛ちゃんはこの世界に思い残しはある?」
そう言うと、哀しげに僕を見つめた。
「たくさん、あるの。
もうちょっと、自分に正直に生きればよかった。楽しく過ごせばよかった。もっと、好かれる人間になりたかった」
愛ちゃんのセーラー服が、さわりと揺れた。
「もう、後悔したって遅いんだけどね」
無邪気に笑う顔が痛々しい。