幕末ヴァンパイア
「大丈夫か…?」
左之…原田左之助さんは心配そうに私を見た
「はい、大丈夫です…」
「そうか…良かった」
そう言ってニコッと私に微笑んだ
「おい、左之…」
「何だよ土方さん」
「お前、目が悪いのか…?」
「は?」
「傷なんかどこにもないじゃないか」
!!
「なっ…!?」
一斉に皆が私の首筋に視線を注いだ
ヤバい
私の直感がそう告げた
『今すぐこの場から逃げろ』
私の頭の中でその声が響いた
「おい」
土方さんが私の肩を触れる
その瞬間―――――
「触るな!!」
身を素早く翻し咄嗟に首を手で覆った
土方さんの探るような目
全てを見通そうとする
漆黒の瞳
この目が無性に怖かった
自分に関わって欲しくなかった
だから私は
逃げた