幕末ヴァンパイア
「土方さん…?」
驚くように、
そして問うように俺を見てきたお前を
狼狽えるお前が愛おしく思った
泣けばいい
俺の胸で…
「待っててやるよ…だから、泣きたい時は泣けばいい…」
そう言った俺に
「すいませ…ん…」
とお前は言ったけれど
その顔は安心しきった表情だった
ぽんぽんと背中を軽く叩き俺はあやす
「っ…うっ…く…うぅっ…」
暗い夜道に泣き声が小さく響く
こいつは
こんな細っこい肩で一体何を抱えて
生きてきたんだろうか…?
俺にできることなら
支えてやりたい…
と、そう思った
この時…いや前からだったからもしれない
こいつに【特別な感情】をいだいたのは
しかし土方が
その【特別な感情】に気づくのはもう少し後の話……