蜜色トライアングル ~String of origin
一章
1.クローバーの誓い
<side.由弦>
あれは、4歳の頃だっただろうか。
由弦は木葉に連れられ、近くの山に遊びに来ていた。
家から歩いて20分ほどのその小高い山は、兄弟たちの遊び場として昔から圭斗や冬青に連れられて何度も来ていた。
4月中旬。
春を迎え、道路脇の花壇には色とりどりの花が揺れていた。
春の暖かな日差しの下、由弦と木葉は近くの丘へと遊びに来ていた。
『ゆづる、こっちだよ!』
木葉に手を繋がれ、由弦は草むらの中を進んだ。
草むらは当時7歳だった木葉の背丈と同じぐらいで、由弦は全く周りが見えない。
必死で木葉の手にしがみつき、走っていると、突然視界が開けた。
『わぁっ……』
そこに広がっていたのはシロツメクサの花畑だった。
4月の暖かい風の中、たくさんの白い花が揺れている。
よく見ると、つくしやスギナもあちこちに飛び出ている。
木葉は由弦の手をきゅっと握った。
『キレイでしょ? ゆづる』
『うんっ』
『この間、お兄ちゃんと圭ちゃんと一緒に来たの。でね、ゆづるにも見せたいと思って』