蜜色トライアングル ~String of origin



にこりと笑う木葉に、由弦も優しい目線を返す。

木葉がカリフォルニアに来てから、由弦は木葉とともにこの公園でランチを食べるようになった。

外食もたまに行くが、木葉が作る食事の方がいいと言いあまり外に食べに行こうとしない。

やはり2年カリフォルニアにいても、食の好みはそう簡単に変わるものでもないらしい。


「今日はサンドイッチだよ」


木葉はにこにこしながら上機嫌で籠を開けた。

中から、色とりどりの野菜が挟まれたサンドイッチが出てくる。


「うまそうだな。……いただきます」


手を拭き、しっかり手を合わせていう由弦に木葉は微笑んだ。

行儀の良さは昔から変わっていない。

木葉の前で、由弦は勢いよくサンドイッチにパクついた。

……が。


「?」


半分ほど食べて眉根を寄せる。

由弦がこんな顔をするのは珍しい。


「……木葉。これ、味見したか?」

「うん、したけど?」

「やたら酸っぱいんだけど。……ちょっと待てよ」




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