蜜色トライアングル ~String of origin



由弦の手が木葉の肩に触れる。

木葉は突然の感触にびっくりし、びくっと体を強張らせた。

それを見、由弦はくすりと笑う。


「……オレには触れられたくないって?」

「……」


そういうわけではなく、ただ驚いただけだ。

しかし木葉のそんな思いは由弦には伝わらない。


「じゃあ逃げれば?」

「……っ?」

「逃げられるものなら、ね」


由弦は唇の端を歪めて笑う。

その笑みに木葉は背筋が凍るような気がした。

由弦がこんな笑い方をするのを見たことがない。


何かとんでもないことが起こっている。

木葉が慌てて口を開こうとした、次の瞬間。


「……っ?」


由弦が木葉の上に覆いかぶさり、唇を塞いだ。

しっとりとした形の良い唇が、木葉の唇を覆う。


木葉は目を見開いた。

その瞬間、唇の隙間から由弦の舌が入り込んだ。


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