蜜色トライアングル ~String of origin
『わしはまだお爺ちゃんとは呼ばれたくないぞ』
『俺もまだ、おじさんと呼ばれたくはない』
父と兄の言葉が脳裏に蘇る。
が、こればかりは仕方がない。
二人の子供であれば、きっと父も兄も喜んでくれるはずだ。
木葉は左手の薬指に輝く指輪を見つめ、くすりと笑った。
――――きっとこの子は、幸せになる。
由弦の愛と、木葉の愛。
そして父や兄もこの子を愛するだろう。
愛しい、かけがえのないもの。
……由弦も、この子も。
この指輪に誓って、幸せにする。
木葉は涙ぐむ目で、そっと指輪に口づけた……。
[String of origin(完)]