蜜色トライアングル ~String of origin



「……ゆ……づる……」


焦げ茶の瞳が、切なげに木葉を見つめている。

その瞳に木葉は胸を切り裂かれるような気がした。


由弦は、弟だ。

……血が繋がってなくても。


自分と由弦は幼い頃からいつも一緒だった。

何をするにも一緒だった。

ふわふわの茶色い髪、まるで天使のようなその笑顔。

自分はその笑顔が大好きだった。

ずっと守りたいと思っていた。


なのに……。


「い……や……っ」


木葉は恐怖に身を震わせた。


――――壊れていく。


由弦との、優しい大切な思い出が……。

……壊れていく。


恐怖に身を縮ませた木葉を、由弦がじっと見つめる。

その目は怒りと熱に狂い、幼い時の面影はみじんもない。


< 17 / 122 >

この作品をシェア

pagetop