蜜色トライアングル ~String of origin
木葉は由弦に満面の笑顔を向けた。
――――お日様のような笑顔。
じんと幼心に胸が熱くなった由弦は、負けじと笑みを返した。
『キレイだね、おねえちゃん!』
『あのね、この間圭ちゃんに、花かんむりの作り方を教えてもらったの』
『かん……むり?』
『うん。頭にかけるの。ゆづるにも作ってあげるね!』
木葉はその場に座り込み、手近なシロツメクサを摘んで束ね始めた。
一本、また一本と摘み上げて丸く巻いていく。
由弦はじっと木葉の手元を見つめていた。
……まるで魔法のようだ。
『じゃーん!』
花冠を作り上げた木葉は由弦の頭にそれをぽんと乗せた。
ふわふわした茶色い髪に、白い花冠が輪っかのように乗る。
『すごく似合うよ、ゆづる! 天使みたいっ』
にこにこと笑う木葉を由弦はぼうっと見上げた。
木葉はいつも笑顔で、太陽のように明るい。
――――おねえちゃんの方が、天使みたいだ。
木葉はいつも由弦の手を引き、新しい世界に連れて行ってくれる。
由弦は小さい頃からこの太陽のような姉が大好きだった。
『じゃあ次はねー、四葉のクローバーを探そうか!』
木葉は言い、再びその場に座り込んだ。
由弦も花冠をつけたまま、木葉に言われるとおりクローバーを探した。