蜜色トライアングル ~String of origin
由弦は木葉と繋がったまま、木葉の瞳をじっと見つめた。
……長い睫毛の下の、焦げ茶色の瞳。
その瞳が潤むのを、木葉は息を飲んで見つめていた。
「木葉が好きなんだ。ずっと、ずっと前からっ……」
「……っ」
「なんであいつなんだ!? オレのほうがずっと、木葉を好きなのに!」
「……」
「オレに何が足りない!? ……金か? 地位か? ……それとも、オレが年下だからか?」
「……ゆ……づ……」
「なんで……っ、……木葉っ……」
由弦の言葉に、木葉は心が引き裂かれるのを感じた。
呆然としたまま由弦を見上げる。
『おねえちゃん』
――――木葉の手を掴む、小さくて暖かい手。
木葉は昔から由弦と手を繋いで歩いてきた。
それは木葉の心の中の、優しくて暖かい記憶だった。
それが粉々に砕け散るのを、木葉は意識の隅で感じていた……。