蜜色トライアングル ~String of origin
4.壊れた思い出
<side.由弦>
シーツに散らばる黒い髪。
宙を見据える、虚ろな目……。
由弦は木葉の顔を見下ろしながら、頬に手を伸ばした。
黒く濡れた瞳に、心がズキリと痛む。
本当は、泣き顔なんて見たくない……。
由弦は木葉の体を見下ろした。
白い肌も、形の良い胸も、ほっそりした腰も、想像していたよりずっと綺麗だ。
「木葉……」
由弦はそっと木葉の頬に手を伸ばした。
そのまま視線を滑らせ、ふと腰のあたりを見ると。
赤い点々としたものがシーツに散らばっていた。
それを見た瞬間、由弦は血の気が引くのを感じた。
「……!?」
木葉は虚ろな瞳で目尻から涙を流している。
その瞳は天井に向けられ、由弦を見ようともしない。