蜜色トライアングル ~String of origin



由弦の言葉に、木葉は茫洋とした瞳で天井を見つめていた。

やがて、わずかに唇を震わせる。

由弦はとっさに木葉の口元に耳を寄せた。


「……圭……ちゃん?……付き合って、ない……」

「でもこの間、ペンションに行ったんじゃないのか? オレ、家の前で木葉があいつと会ってるとこ、見たんだ」

「ペンションは、お兄ちゃんが……。圭ちゃんは、送ってくれた、だけ……」


茫洋と呟くように言う木葉を、由弦は驚愕とともに見下ろした。


――――自分は、とんでもない思い違いをしていたのではないか?


由弦は血の気が引いた表情で木葉を見据えた。

木葉は虚ろな瞳で横たわり、微動だにしない

蹂躙された躰の下に散らばる血が、自分のしたことを如実に物語っている。


「……っ!!」


衝撃が怒涛のように由弦を襲う。

由弦は木葉の中から自身を抜き、これまでとは打って変わった表情で木葉の体を抱きしめた。

目をぎゅっと瞑り、唇をかみしめる。

木葉は由弦の腕の中で、魂が抜けたように揺れている。


「ごめんっ……」

「……」

「ごめん、木葉! オレ、とんでもないことを……っ」


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