蜜色トライアングル ~String of origin



あの夜のことを思い出すだけで背筋が固まる。

由弦の指、体、そして……。


「……っ」


木葉は考えを振り払うように首を振り、雑誌に目をやった。

何かをしていないと、すぐにあのことが頭をよぎる。


あれから数日。

木葉の混乱は頂点に達していた。

病院にいても家にいても昏い表情で考え込むことが増えた。

圭斗は心配し何があったのか聞いてきたが、まさか話せるはずがない。


――――あの後。

由弦は木葉を翌日の昼まで離さなかった。

何度も組み敷かれ、体を開かれ、体の深い部分を激しく抉られて……。

快楽の淵に強引に突き落とされ、体中の至るところに痕を残されて……。

木葉が意識をなくしても、由弦は木葉の体を離そうとしなかった。


『オレのこと、好きって言えよ? そうすれば幾らでも気持ちよくしてやるから……』


と、縋るように木葉の体を引き寄せたかと思えば、


『他の奴になんて絶対に渡さねぇ。オレ無しじゃいられない体にしてやるよ』


と激しい情熱で木葉の体を奪う。

体を交わした経験のなかった木葉は、由弦の情熱になすすべもなく翻弄された。

無垢な体を塗り潰すように、由弦は執拗に木葉を抱いた。

木葉はぐっと目を瞑った。


――――もう何が何だか、わからない。


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