蜜色トライアングル ~String of origin
圭兄に言ったらあんたの悩みの種がさらに増えそうだしね、と凛花は続ける。
頷いた木葉に、凛花は真剣な目で向き直った。
「ただ、冬青には気を付けた方がいいわ」
「……」
「もしバレたら、あいつ、由弦を殺すかもしれないわよ?」
真面目な顔で凛花は言う。
木葉は背筋が凍るのを感じた。
「冬青に言うのは、あんたの考えが決まってからでいいと思うわ」
「……そう、だね……」
「あんたの意思なら、あいつは何も言わないはずよ。たぶんね」
凛花の言葉に、木葉は頷いた。
兄は木葉の意思をいつでも尊重してくれる。
木葉が考えて決めたことなら何も言わないはずだ。
しかし自分のこの錯乱した状態を知ったら、その原因である由弦を排除しようとするかもしれない。
……それは、避けたい。
姉として、由弦を守らなければならない。
「ありがとう、凛花ちゃん……」
「……木葉……」
「少しすっきりした。……明日、病院に行ってくるね?」
弱々しく木葉は微笑む。
そんな木葉を、凛花は気遣わしげな目で見つめていた。