蜜色トライアングル ~String of origin
あの瞬間、由弦は怒りに身を任せながら、心が無理なら体だけでもと思っていた。
けれど木葉の体を得た後、由弦の心に募ったのは……。
――――心が欲しい、という切望。
その切望に焼かれるように、由弦はあの夜狂ったように木葉を抱いた。
何度も、何度も……。
けれど木葉は一度も由弦が欲しいとは言わなかった。
やはり、自分は弟でしかないのだろうか?
圭斗や冬青と同じ土俵には立てないのだろうか?
由弦が社会人になる前に、誰かが木葉の心を奪っていくかもしれない。
それを……自分は黙って見ていることしかできないのか?
「……」
焦りが由弦の心に炎のように広がる。
……耐えられない。
一度解放されてしまった恋心は貪欲さを増していく。
由弦は唇を噛みしめた。
木葉を攫って閉じ込めて、あの体に愛を刻み続けたら、木葉は自分を愛してくれるだろうか?