蜜色トライアングル ~String of origin
「……由弦、離してっ……」
「嫌だ」
「……っ……」
由弦は木葉の肩を掴んだまま無理やり横の路地へと引き込んだ。
焦る木葉の背を抱き、顎を掴む。
由弦は戸惑う木葉の顔を上向かせ、素早く口づけた。
「……っ!」
「……」
「……ゆず……っ……」
言葉は由弦の唇に吸い込まれ、何も言うことができない。
唇の隙間から入ってきた由弦の舌が優しく木葉の舌を舐める。
由弦は木葉の唇をしばらく蹂躙した後、ゆっくりと唇を離した。
つぅと透明な糸が垂れる。
「……嫌がる割には、ここは素直だね?」
由弦は少し笑い、つんと指先で木葉の唇に触れる。
あの夜を思い出す仕草に、木葉はカッと顔を赤くした。
思わず手を上げようとしたが、その手をすかさず由弦が掴む。