蜜色トライアングル ~String of origin



「隙だらけだよ、それじゃ」

「……由弦っ……」

「護身術、忘れたの? ……オレがもう一度教えてあげようか? ベッドの上で」


木葉の顔が林檎のように赤くなる。

怒りのあまり再度手を上げようとした木葉を、由弦はとっさに抱きしめた。


「……冗談だよ」

「……っ」

「会いたかった。……木葉の顔を、見たかった」


由弦は胸の奥から押し出すように言い、木葉の髪に頬を埋めた。

木葉の鼻先に由弦のグリーンノートの香りがかすめる。

どこか心安らぐその香りに、木葉は抵抗を諦めて由弦の腕の中で目を臥せた。



――――そんな二人の姿を。

遥が路地の影から息を飲んで見つめていた……。


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