蜜色トライアングル ~String of origin
「……後で、続きはやるから……」
木葉はそそくさと倉庫を出ようとした。
が、後ろからその腕を掴まれてそのまま倉庫に引き戻される。
はっと顔を上げた時には、由弦の腕の中にいた。
「離してっ、こんなとこで……」
「ここじゃなきゃいいワケ? それじゃ、オレの部屋にでも行く?」
「違っ……っ!」
後ろから抱き込まれ、顎を掬われて唇を奪われる。
――――あれから。
由弦は木葉と二人きりになると、不意打ちでキスを仕掛けてくるようになった。
それ以上のことは今のところしてこないが、部屋になど入ってしまったらどうなるかわからない。
……自分の家にいるのに、落ち着かない日々。
冬青や由弦と兄弟ではなかったということ以上に、自分への想いを隠そうとしない由弦にどう接したらいいのかということの方が悩ましい。
木葉は由弦の腕の中でぐっと手を握りしめた。
……流されては、ダメだ。
由弦を傷つけたくはない。
しかし流されてしまったら、どこに行きついてしまうのか……。
全く見当がつかない。
木葉は混乱する頭で必死に考えた。
由弦の唇が、しだいに深くなっていくのを感じながら……。