蜜色トライアングル ~String of origin
「カリフォルニア料理、か……」
どうしようか、と考えながら呟いた時。
突然脇から伸びてきた白い手が木葉の携帯を掴み、もぎ取った。
「……!?」
と、その白い手の主を見た木葉は思わず仰天した。
長い茶髪に小動物を思わせるくりくりっとした目。
膝丈の白いワンピースに、小花柄のカーディガン。
一之瀬遥だ。
「……」
遥は無表情でメールの文面を確認した後、パタンと携帯を閉じた。
それを木葉のバッグにねじ込み、木葉の顔を正面から見据える。
木葉はその顔を見、息をのんだ。
可愛らしい顔に浮かぶ、憎しみと侮蔑の表情。
あからさまなその感情に、木葉は背筋が凍りつくのを感じた。