蜜色トライアングル ~String of origin
『おーい、木葉ーっ』
冬青の声が遠くから聞こえてきた。
どうやら木葉と由弦を探しにきたらしい。
――――その声を聴いた瞬間。
ぽろっと木葉の目尻から涙が零れた。
『……っ』
木葉は慌ててそれを拭う。
それを見た由弦は息を飲んだ。
――――おねえちゃんも、怖かったんだ。
けれど由弦を不安にさせないために、笑ってくれた。
……由弦のために。
『おねえちゃん……』
由弦は木葉の手を握りしめた。
木葉も怖かったのに、必死で我慢して、木葉は笑顔を由弦にくれた。
――――由弦のためだけの笑顔。
由弦はじんわりと、自分の目にも涙が滲むのを感じた。