蜜色トライアングル ~String of origin
――――20:30。
「……」
完全に闇に落ちた海を前に、由弦は唇をかみしめた。
……これが、木葉の答えなのか?
ひょっとしたら……と期待していた。
木葉は由弦の唇を抵抗しながらも受け入れてくれた。
嫌われているわけではない、と由弦は安堵し、ひょっとしたら……と期待していた。
今日木葉が来たら、自分の想いをもう一度告げて、自分たちの関係をはっきりさせようと思っていた。
……しかし。
「……っ……」
やはり自分は、木葉にとって弟でしかないのか?
あれだけ愛しても……。
木葉の体に、自分自身を刻み付けても……。
期待は絶望に変わり、由弦の心を蝕む。