蜜色トライアングル ~String of origin
あの夜木葉を傷つけた後悔は、ストッパーとして由弦の心を押さえつけていた。
どんなに木葉が欲しくても、これ以上木葉を傷つけないように……。
キス以上のことはしない、木葉が嫌がったらやめる。
そう自分自身に枷を嵌め、木葉に接してきた。
しかし……。
「……木葉……」
押さえつけられていた恋情が再び心の中でうねり出す。
木葉が欲しいと狂い哭く。
――――自分自身でも制御できない感情。
由弦はぐっと拳を握りしめ、海に背を向けた。
月明かりが、その背を静かに照らしていた……。
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