蜜色トライアングル ~String of origin



あの夜木葉を傷つけた後悔は、ストッパーとして由弦の心を押さえつけていた。


どんなに木葉が欲しくても、これ以上木葉を傷つけないように……。

キス以上のことはしない、木葉が嫌がったらやめる。

そう自分自身に枷を嵌め、木葉に接してきた。

しかし……。


「……木葉……」


押さえつけられていた恋情が再び心の中でうねり出す。

木葉が欲しいと狂い哭く。


――――自分自身でも制御できない感情。


由弦はぐっと拳を握りしめ、海に背を向けた。

月明かりが、その背を静かに照らしていた……。




<***>

< 51 / 122 >

この作品をシェア

pagetop