蜜色トライアングル ~String of origin
21時。
木葉は家の近くの公園のベンチに座っていた。
既に陽は落ち、頭上には星が輝いている。
由弦はまだ待っているのだろうか……。
そう思うと、自分だけ家に帰る気分にはなれなかった。
『今、私は由弦とお付き合いしています』
髪の長い、可愛らしい顔の由弦の彼女。
その顔が憎しみに染まるのを、木葉は胸の痛みとともに思い出した。
『あなたは由弦のお姉さんでしょ!? なんでそんな気持ち悪いことできるんですか!?』
『私が、由弦をまともな道に戻します』
遥の言葉が木葉の心を深く抉る。
由弦の想いに流されかけていた。
しかし、現実は……。
「……」
世間は二人を遥と同じ視線で見るのだろう。
例え血が繋がってなくても、一緒に育った姉弟だ。
気持ち悪いと言われたことが、木葉の胸にさざ波のように痛みを広げていく。