蜜色トライアングル ~String of origin
「……由弦……」
もし、由弦の想いに流されたら……。
由弦もいつか、こんな思いを味わうのかもしれない。
気持ち悪いと言われ、まともではない道をいく……。
そんな思いを由弦にさせるわけにはいかない。
由弦の姉として、そう思う。
しかし……。
それを由弦に伝えたら、由弦は……。
「……」
木葉は目元を覆った。
――――由弦を傷つけたくない。
あの時、縋るように木葉を見た由弦に、とてもそんなことは言えない。
木葉は目に滲んだ涙を二の腕でぐいと拭った。
いくら考えても、どうすればいいのかわからない。
木葉は夜空を見上げた。
目尻から一粒の涙が頬を伝って落ちた……。