蜜色トライアングル ~String of origin
6.嫌いと言って
22時。
木葉はふらつく足で家の玄関をくぐった。
あれから3時間が過ぎた。
さすがに由弦も部屋に戻っているだろう。
と石畳を上がった、その時。
「……どこ行ってたの?」
玄関の横から声を掛けられ、木葉ははっと足を止めた。
見ると、玄関の灯りの下で由弦が腕を組んで壁に寄りかかっている。
その顔は無表情で、瞳には怒りをはらんでいる。
木葉は息を飲んだ。
「オレを放って……こんな時間まで、一体どこで何してた?」
「……」
「他の男のとこにでも行ってた? ……答えなよ」
由弦は唇を歪め、笑いながら言う。
いつもと違いスーツに近い格好をしているせいだろうか、灯りの下に浮かび上がった由弦の姿は迫力があり、木葉は思わず一歩後ずさった。
「……っ、由弦……」
「誕生日は、オレじゃない奴に祝ってほしかった……ってわけ?」
「……そんな、こと……」
「あんなことした奴に祝ってほしくない……ってか?」