蜜色トライアングル ~String of origin
「……兄貴……」
「お前達、何があった?」
冬青の言葉に、木葉はぐっと押し黙った。
由弦も何も言わない。
冬青は無言でじっと二人を見つめた後、ややして口を開いた。
「詳しくは聞かんが。……この家にいる以上、親父を悲しませることはするな」
「……」
「特に由弦。お前の思いがどうであれ、今のお前は学生だ」
「……っ」
「今、やるべきことがあるはずだ。……わかるな?」
冬青の言葉を由弦は呆然とした表情で聞いていた。
……今、やるべきこと。
……学生の今でなければ、できないこと。
木葉の視線の先で、由弦の瞳に光が走る。
それは心の靄を晴らすかのように、由弦の瞳を次第に明るく変えていく。