蜜色トライアングル ~String of origin



「……兄貴……」

「お前達、何があった?」


冬青の言葉に、木葉はぐっと押し黙った。

由弦も何も言わない。

冬青は無言でじっと二人を見つめた後、ややして口を開いた。


「詳しくは聞かんが。……この家にいる以上、親父を悲しませることはするな」

「……」

「特に由弦。お前の思いがどうであれ、今のお前は学生だ」

「……っ」

「今、やるべきことがあるはずだ。……わかるな?」


冬青の言葉を由弦は呆然とした表情で聞いていた。


……今、やるべきこと。

……学生の今でなければ、できないこと。


木葉の視線の先で、由弦の瞳に光が走る。

それは心の靄を晴らすかのように、由弦の瞳を次第に明るく変えていく。


< 60 / 122 >

この作品をシェア

pagetop