蜜色トライアングル ~String of origin
三章
1.近すぎて見えない
二週間後。
木葉はカフェで凛花に事の顛末を話していた。
木葉の顔色もだいぶ回復し、げっそりした感じも薄れてきた。
……が。
「……まだ悩みは尽きないって顔ね」
はー、と凛花はため息交じりに言う。
――――あれから。
由弦は木葉に一切触れてこなくなった。
というより家にほとんど帰らず、大学の研究室で研究に没頭しているようだ。
家で会うときも感情をぶつけることもなく、普通に木葉に接してくる。
「一体、どうなってんだか……」
木葉は頭を抱えた。
――――わけがわからない。
冬青の言葉が由弦を変えた、というのはなんとなくわかるが……。
あれほど不安定だった由弦が、突然落ち着いた。
しかも日夜研究に没頭。
……正直、意味が分からない。