蜜色トライアングル ~String of origin



「……」


驚きのあまり、言葉が出ない。

けれど。

胸にじわりと暖かさが広がっていく。

木葉は手をぎゅっと握りしめた。


『お前たちは、新しい関係を築いていけるはずだ。これまでとは違う、新しい関係をな』


父の言葉が木葉の脳裏に蘇る。

――――『新しい関係』。

由弦は既に考えていたのだ。

二人が一緒に生きるための、新しい関係を。


「……返事を聞かせて、木葉」


由弦の言葉に、木葉はこくんと頷いた。


「うん。……わかったよ、由弦」


木葉はにこりと笑い、頷いた。

何か月ぶりかに見るその笑顔に、由弦の頬が歪む。


< 75 / 122 >

この作品をシェア

pagetop