蜜色トライアングル ~String of origin



「……っ、木葉……」


由弦は木葉を強く抱き寄せ、髪に頬を寄せた。

そのまま自分の胸ポケットから小さな箱を出し、中身を取り出す。


――――金褐色に光る、アレキサンドライト。


由弦はそれを木葉の首に回しかけ、後ろで留めた。


「……?」


ひんやりとした金属の感覚に木葉は首を傾げた。

公園の街灯の光を受けて輝くそれを、木葉は驚いて見つめた。


「約束だ」

「……由弦……」

「本当は木葉の誕生日に渡すはずだった。でもこのタイミングで良かったのかもな?」


くすりと由弦は笑い、木葉の唇に優しいキスを落とした。

由弦の優しさが唇越しに伝わってくる。


――――新しい関係は、既に始まっているのかもしれない。

木葉は少し笑い、由弦の顔を見上げた。


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