蜜色トライアングル ~String of origin
「……っ……」
圭斗の指が、体が、木葉の躰を自由にしていると思うと耐えられない。
圭斗の体の下で木葉が可愛い声で喘ぎ、あの潤んだ黒い瞳で愛の言葉を囁くと思うと、耐えられない嫉妬が胸に広がる。
「くそ……っ」
ダンと由弦は拳をカウンターに叩きつけた。
考えなければいいと思っても、あの夜の二人の姿が脳裏から離れない。
――――見なければよかった。
そうすればこんなに悩まずに済んだ。
由弦はぐっと手を拳を握りしめた。
その時。
メールの着信音が響いた。
とっさに携帯を開いた由弦は、目に飛び込んできた文面に息を飲んだ。
『インペリアルタワー・ホテル42F 角部屋 from K』
木葉はこんなメールは打たない。
恐らく誰かが木葉の携帯からメールを打ったのだろう。
しかし、『K』とは誰なのか……。
その瞬間、一人の名前が由弦の脳裏をよぎった。
――――『角倉圭斗』。