蜜色トライアングル ~String of origin
「まぁでも、良かったんじゃない? あいつ、昔からあんたしか見てなかったからね~」
「……」
「あそこまであからさまだと、いっそ清々しいというか。気付かなかったあんたも相当だけど……」
どうやら木葉以外は昔から由弦の気持ちに気づいていたらしい。
しかし木葉は全く気付いていなかった。
鈍感だと凛花には昔から散々言われてきたが……やはりそうなのだろうか。
「あんたの鈍感っぷりは天然記念物レベルだからね。この分だと、……にも……にも気付いてないんでしょうね……」
「……え?」
「イヤイヤ何でもないわ」
凛花は苦笑いし首を振る。
木葉はきょとんと目を丸くした。
「まーとにかく。あんたはあんたでいろいろやることがあるでしょ」
「……うん、そうだね」
「向こうに行って後悔しないように、できることはキッチリしときなさい」
凛花は本当に姉のようだ。
アメリカに行って会えなくなるのは寂しい。
……が、木葉にも夢がある。
木葉は頷き、凛花ににっこりと笑った。