蜜色トライアングル ~String of origin
『アメリカに行っても、ここはお前たちの家だ。年に一回ぐらいは二人で帰ってきなさい』
年の暮れ、父は少し寂しそうな顔で木葉に言った。
木葉も由弦も、父にとっては大事な子供だ。
父の寂しさを思うと木葉も胸が詰まる。
『だがな、木葉』
『?』
『わしはまだお爺ちゃんとは呼ばれたくないぞ。由弦にもそう言っておけ』
『……』
ハハと乾いた笑いを木葉は返した。
父は一体何を心配しているのか。
と思ったら。
『俺もまだ、おじさんと呼ばれたくはない』
横でぽそりと言った冬青に木葉は固まった。
――――二人とも何を心配しているのか。
確かに、兄がおじさんと呼ばれる姿は想像がつかないが……。
「……郵便見てこよっと……」